巻頭提言
多彩な電動モビリティを連動させることが
新たな移動手段を創出し、地域経済を活性化させる。

モビリティ大変革期──。
“電動”を主軸に次世代交通システムが形成されていく。

 モビリティブレンド──。名古屋大学未来社会創造機構の森川高行教授が唱える移動・交通システムの持論である。 人口減少、高齢化、ドライバー不足、経済縮小によって瀕死の状態が近づいていると言われる地域交通網を 再建するには既存交通手段と新たな交通システムをブレンドし、 選択肢の多様化の中で利便性の向上をはかり、 機能的な移動システムを創り出していくという構想だ。

 新規交通手段としてはCASE、すなわちConnected(自動車のIoT 化)、Autonomous/Automated(自動運転)、 Shared(共有・シェアリング)、Electric(電動化)を組み合わせて活用することが 重要な要素になると森川教授は明言する。

 東京モーターショーから名前を変え、 4年ぶりの開催となったジャパンモビリティショーもそうしたコンセプトが少なからず反映されていた。 とりわけ本田技研工業ブースにはさまざまな未来志向の電動モビリティが展示され、興味深いものがあった。

 100年に1度と言われるモビリティの大変革期を反映し、 その他の各種展示会でも乗り物の新たな可能性を提示・提案する場面が増えている。 弊社・ライジング出版が主催する「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO」も 〝電動〟をコンセプトとする多彩なモビリティとインフラ機器が参集し、 まちづくりの視点と照らし合わせたかたちで次世代交通システムを展望する展示イベントだ。

 人口減少、高齢化が不可避の日本にあって、地域交通システムをいかに形成していくのか。 地域社会の移動手段をどのように確保し、地域経済を活性化させていくのか。 機能性に富み、利便性の高い交通手段をいかに創出していくか。 新型モビリティを導入したライフスタイルはどうあるべきか。

 来年6月5日・6日に新宿で開催される「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024」は、 上記テーマに対する出展各社の提案が一堂に集められ、公開される。

 その答えのベースとなるのは電動、エレクトリックパワーである。

(本誌・高木賢)


 特集 
EVシフトの現在地
2023 EV充放電インフラ整備の現況と可能性を探る。(PART 2)

 経済産業省は10月に「充電インフラ整備促進に向けた指針」を公表した。

 同指針の重要ポイントは充電器設置目標を倍増したことだ。政府は2030年ま でにEV 充電器を15万基整備する目標を掲げていたが、今回発表した目標は 2030年までにEV充電器を30万口整備するというものだ。従来の計画を大幅に 上方修正し、倍増計画を正式に打ち出したのだ。

 30万口の内訳は急速充電器が3万口、普通充電器が27万口。最近は1基の充電 器で2口以上の充電口を持つ製品が増えていることから、充電設備の単位を基数 から口数に変更した。 

 また、充電時間の短縮をはかるため、急速充電器の平均出力を現在の40kWか ら倍増の80kWにする計画だ。充電器全体の総出力は現在の約39万kWから10 倍の約400万kWを目指す。

 高速道路では原則として1口90kW以上の高出力の急速充電器の配備を推進し ていく。特に急速充電器の需要が多い場所では150kWの急速充電器の設置を推 進していく方針。高速道路以外でも50kW以上の出力が目安だ。

 充電器の高出力化は充電時間の短縮を可能にし、ユーザーの利便性を高めてい くのが狙いだ。

 なお、電力量に応じた課金については25年度からサービスの実現をはかり、商 用車を中心としてエネルギーマネジメントによるコストの低減化を進めていく。

 経済産業省はモビリティ電動化の基盤構築に向け、世界に比肩する目標を設定 したと強調している。これによりEV充電ビジネスをめぐる競争はさらに熾烈なも のになっていくはずで、そのエネルギーが日本のEV市場を活性化させ、EVシフ トを加速させる原動力になることは必至だ。

 EV充電ビジネスをめぐる国内メーカー、海外メーカーの陣取り合戦はこれから が本番だ。


 シリーズ企画
モビリティ新世紀!
乗り物新時代・ビジネスシーンの“今”を追う。

 時代が猛スピードで変化していく中、各種乗り物の機能は日々進化を遂げ、 移動手段にもさまざまな形態が創出しています。

 脱ガソリンの潮流はいよいよ本格化しており、 パーソナルモビリティはこぞって電動化への道をひた走りはじめました。

 乗り物新時代を迎えた今、「Mobility Life」は自転車のみならず、 超小型EVをはじめとするさまざまな乗り物の最新情報を取り上げ、 新たなモビリティが生み出すまちづくりの実態を追っていきます。

モビリティ新世紀におけるビジネスシーンの“今”に迫ります。


 シリーズ企画:進化・変革の道
駐輪場の利用料金を考える。─⑤

INTERVIEW 自転車活用推進研究会事務局長 内海潤
PDFにて全文掲載

最新号コンテンツ
巻頭提言
多彩な電動モビリティを連動させることが
新たな移動手段を創出し、地域経済を活性化させる。
特集 EVシフトの現在地
2023 EV充放電インフラの現況と可能性を探る。PART 2
注目! 充電器 30万口市場へのカウントダウン
経済産業省、従来の計画を2倍に上方修正
充電器全体の総出力は現在の10倍・400万kW目指す
新電元工業/ダイヘン/東光高岳/永輝商事/和光電研/ENECHANGE /Bell Energy/モリテック スチール/Terra Motors/シナネンホールディングス/東亜道路工業 /内外電機/MIRAI-LABO
シリーズ企画 モビリティ新世紀
乗り物新時代・ビジネスシーンの“今”を追う
本田技研工業/ダイハツ工業/スズキ/NTTビジネスソリューションズ /HW ELECTRO/京セラコミュニケーションシステム/エイム/EVモーターズ・ジャパン/OSS /シゲオー(東京)/大阪シゲオー/デンケン/超小型EV技術研究組合/aidea/J-BEVU
BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2024
For the NEXT STAGE

次世代〝まちづくり〟展望するモビリティ×インフラの大提案
〝電動の時代〟本格到来に備え、充電インフラ関連企業が注目モデルをラインアップ
シリーズ企画:進化・変革の道
駐輪場の利用料金を考える。─⑤
内海潤(自転車活用推進研究会事務局長)
「旧態依然の駐輪場運営は崖っぷちに来ているという危機感を感じています」
連載・読み物・情報
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                    片岡 大造
  • 自転車を眼鏡にして世の中を見る 小林 成基
  • バイシクルシティ・ニッポンを目指して
                    片岡 大造
  • 晴走雨読 疋田 智
  • 日米欧の自転車政策概論 古倉宗治
  • ニッポンの自転車、ココが足りない 内海 潤
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