巻頭提言〈EV主軸にジャパンモビリティショー2025を概観〉
EVシフト、着実に進展

日本メーカー、海外勢ともにEVラインアップを拡充

ソフトウェアで存在感高める新規参入企業

 ジャパンモビリティショーが10月30日から12日間、東京ビッグサイトで開催された。 会場には自動車メーカー各社の最新モデル、未来志向のコンセプトカーが展示されたが、 〝モビリティを活用したまちづくりの展望〟をテーマとしている本誌としては、 カーボンニュートラル志向の製品・システムを主力に取材した。 つまりはEV・電動自動車の動向である。

 トヨタはガソリン車からEVまで目配りした「全方位戦略」の展示を披露したが、 大衆車とされてきた「カローラ」にEV・プラグインハイブリッド仕様のコンセプトカーを登場させたことはひとつの注目点だろう。 スタイリッシュにブラッシュアップした「カローラ」コンセプトカーは、 EV市場の動向次第ではEVシフトを強化できる用意があることを示したトヨタ戦略の象徴と言えよう。

 ホンダは新型EVの「ゼロアルファ」の試作車を初公開し、小型EV「Super-ONE」プロトタイプを披露した。

 スズキは「ビジョンe-Sky」のコンセプトカーを展示して注目を集めていたが、 2026年には軽EVを市場に投入していく予定。 日産自動車も「サクラ」を主軸として軽EV市場の主導権を死守していく構えだ。

 軽EVと言えば、今回のジャパンモビリティショーでは中国の大手自動車メーカーBYDが「RACCO(ラッコ)」の試作車を発表し、 注目を集めた。 同モデルは来年夏に発売されるが、他モデルと較べて利益幅の薄い軽EVを海外メーカーが手掛けるのは極めて異例だ。 「ラッコ」は、日本のEV市場で存在感強化を目指すBYDの戦略車と言えるだろう。

 韓国勢のEV攻勢も急だ。 ヒョンデが「アイオニック5」に加えて低価格車の「インスター」でシェアアップを狙う一方、 新生Kia PBVジャパンは「PV5カーゴ」「PV5パッセンジャー」のEVバンを市場投入する。

 また、自動車業界ではEVの進化と相まって、ハードウェアからソフトウェアの競争が激化している。 ソニーグループが「VR(仮想現実)コックピット」、シャープが車内をリビングルームの拡張空間とするEVコンセプトモデル「LDK+」を発表して話題を提供しているが、 ソフトウェアの拡充も自動車業界にとって見逃せない勝負どころになりつつある。

 ソフトウェアの先端技術を導入することで運転機能の強化と快適な車内空間の創造を提示したSCSK、 自動運転バスにアバターバスガイド導入を提案したAVITAなどはモビリティ新時代を象徴するかのような展示だった。

 EVシフトの動きに紆余曲折はあるものの、世界的な電動化の波はクルマづくりの有り様を着実に変貌させている。 四輪にとどまらず三輪、二輪、そして自転車を含めて進化・変革の波が急速に高まっている。

 モビリティ電動シフトが広がりを見せる中、 新たなまちづくり、次世代交通システムの構築に求められているのはモビリティ全体を見渡す先見性とグローバルな視点であり、 多彩なモビリティを連携させる協調と先進性の両立だろう。 2025年ジャパンモビリティショーの会場でそうした想いを新たにした。

(本誌・高木賢)


 集中連載 モビリティ新時代への提言
大変革期を迎えた自動車業界の昨日・今日・明日 ♯5

「どうするトヨタ! ブレないマルチパスウエイ」

元トヨタ自動車 主査・テラズオフィス代表 寺谷 達夫

 2025年秋、トランプ関税(車:15%)、国内新政権発足、ふたつの日本人ノーベル賞受賞(坂口氏:生理学賞、北川氏:化学賞)の朗報も入ってきた。 世界の外交・政治・経済・社会の潮目が変わりつつある。

 世界各国、グローバルから国益・国民目線を重視した現実解への模索が始まっている。 ダーウインの「種の起源」に「環境変化に適応できるものだけが生き残る!」の名言がある。

 今回から、筆者の「クルマ業界50年」、主にトヨタでの実体験・エピソードの一端を紹介し、 次世代若手技術者の「未来への挑戦」の一助として「技術者矜持」の視点で述べる。 多少のニュアンスの違いには、ご容赦いただきたい。

(本文は雑誌に掲載)


 特別対談
持続可能な地域づくりのビジョン掲げる
「第3次自転車活用推進計画」

自転車含めたモビリティ連携で移動システムを強化

 星 明彦(国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課長)
  ✖️
 土田宏道(国土交通省道路局参事官・自転車活用推進本部事務局次長)

 司会 : 本誌編集長・高木賢

 本誌では9月18日、国土交通省内会議室で自転車活用推進本部事務局・土田宏道次長と国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課・星明彦課長による特別対談を実施した。国土交通省きってのサイクリストとして知られる両氏は自転車愛に裏打ちされた真情あふれる貴重な意見を披露されたが、繰り返し強調したのが自転車と他のモビリティとの連携体制の推進だ。

 人口減少化がもたらす負の連鎖に歯止めをかけ、安全で利便性の高い移動・交通網を拡充していくには地域のニーズ・実情に合わせたモビリティ連携システムの強化が必要不可欠であることを土田、星の両氏は力説した。

<本文は雑誌に掲載>


 シリーズ企画 モビリティ新世紀!
乗り物新時代・ビジネスシーンの
“今”を追う。

 時代が猛スピードで変化していく中、各種乗り物の機能は日々進化を遂げ、移動手段にもさまざまな形態が創出しています。

 脱ガソリンの潮流はいよいよ本格化しており、パーソナルモビリティは電動シフトを加速させています。

 乗り物新時代を迎えた今、「Mobility Life」は各種EVをはじめとするさまざまな乗り物の進化形、 最新情報を取り上げ、新たなモビリティが生み出すまちづくりの実態を追っていきます。

 モビリティ新世紀におけるビジネスシーンの“今”に迫ります。

<本文は雑誌に掲載>


 モビリティ新世紀
CYBER SEVEN
不正駐車・不正駐輪はNO!

精算機不要・スマホ決済の次世代IoTパーキングシステム「SEVEN AI CLOUD」

 代表取締役社長 野田修治
 事業部長 西原浩人

 今年8月25日、次世代IoTパーキングシステム「SEVEN AI CLOUD(セブン・エーアイ・クラウド)」を発表した CYBER SEVEN(本社・東京都新宿区、代表取締役社長・野田修治)。 「SEVEN AI CLOUD」はIoT技術を駆使したクラウド型WEB管理システムで、 精算機不要・スマホ決済の最新型駐車場・駐輪場管理システムだ。 精算機が駐車場・駐輪場に設置されておらず、 管理者がリアルタイムで駐車場・駐輪場の稼働状況を把握できることや、 100円パーキングのあらゆる既存システムと連携した上で新システムを再構築できることが駐車場メーカーとしての新たな立ち位置となる。 また、駐車場フラップ「PARK WING」、駐輪ラック「CYCLE WING」を駆使した物理ロックによる駐車場・駐輪場運営により、 不正駐車・不正駐輪の防止機構を備えていることも「SEVEN AI CLOUD」の見逃せない特長だ。

 次世代パーキングシステム「SEVEN AI CLOUD」で 駐車場・駐輪場業界に新風を送り込むCYBER SEVEN。 同社の野田修治社長、西原浩人事業部長にインタビューした。

<本文は雑誌に掲載>


 モビリティ新世紀
注目のEVコンバージョントラック

中古トラックに高機能EV部品を組み込んで製造

ヤマトモビリティ& Mfg.

 樹脂成形事業とカゴ台車「コンビテナー」の製造販売で知られるヤマトモビリティ& Mfg.(川越本社・埼玉県川越市、代表取締役CEO 執行役員・鈴木昭寿)は、 新事業ブランド「JEMY(Japanese Electric Mobility by Yamato)」を立ち上げ、EV事業を推進している。

 同社はトラックEVコンバージョン事業、EV 完成車輸入販売事業、汎用電池モジュール事業を主軸として 日本の物流車の電動化促進に貢献していく構えだ。

<本文は雑誌に掲載>


 モビリティ新世紀
好評の「満空情報配信システム」

自転車駐車場の利用状況をリアルタイムで配信・表示

東海技研

 先進的な駐輪機器の開発・製造で知られる東海技研(本社・神奈川県横浜市、代表取締役社長・大槻壘)は Web 管理(CYCLUNE PEDIA)を推進しているが、このほど開発した「満空情報配信システム」が注目を集めている。

 自転車駐車場の利用状況をリアルタイムで把握できる「満空情報配信システム」は 管理者、利用者の双方にとって利便性の高いシステムで、好評だ。

 同社は「満空情報配信システム」とともに「定期Web申込みシステム」も提案中で、 駐輪場・駐車場利用の新たな需要創出に注力している。

 「あたりまえを創り、人々の暮らしを支える」をミッションとして掲げ、 駐輪場・駐車場管理の改革・改善に取り組む同社の事業展開が注目される。

<本文は雑誌に掲載>


 モビリティ新世紀
2026年春からEVバン「PBV」シリーズを販売

第1弾は「PV5カーゴ」「PV5パッセンジャー」の2車種

Kia PBVジャパン

 Kia PBVジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田島靖也)は、 Kia Corporation(本社:韓国ソウル市、代表取締役社長:ソン・ホソン)が開発した EVバンの「PBV(Platform Beyond Vehi cle)」を日本国内で販売する。

 Kia PBVジャパンが来春から販売を予定している「PBV」の第1弾モデルは 「PV5カーゴ」と「PV5パッセンジャー」の2車種で、いずれも訴求力の高いEVバンだ。

<本文は雑誌に掲載>


 BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2025
 パネルディスカッションダイジェスト
移動・物流システム
EV化への展望

パネリスト
 横井行雄(公益財団法人自動車技術会ワイヤレス給電システム技術部門委員会幹事)
 高木啓司(株式会社山下PMC管理統括本部シニアフェロー)
 岸本よしひろ(TEAM MIRAI代表)
司会
 遠藤まさ子(自転車ジャーナリスト)

 EVシフト、自動車の電動化は商用車・物流の世界から進展していくというのが一般的見解だろう。ビジネスシーンで使用されている商用車の電動化は走行性能の強化、管理システムの機能・利便性の向上、コスト削減などメリットが多いはずだ。そうした状況を視野に入れ、今年6月11日・12日に東京・西新宿の新宿住友ビル三角広場で開催された「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2025」では、特設ステージでパネルディスカッション「移動・物流システムEV化への展望」を実施した。

 横井行雄氏が専門家の立場から自動車界の電動化、EVシフトの概略を紹介し、建設コンサルタントの高木啓司氏、二輪ライダー兼電動バイク開発者の岸本よしひろ氏が独自視点の持論を披露するかたちでディスカッションは進行した。

 本誌では同ディスカッションの骨子を再現することにした。

<本文は雑誌に掲載>


 連載企画 人と街と、EVと。
EV充電ステーション訪問 ──❷

「大井充電ステーション」

物流倉庫の密集地に設営されたEV商用車専用の充電スポット

 EVの充電ステーションを順次紹介していく本連載企画の第2回目は、 東京都品川区八潮1丁目に誕生した大井充電ステーションを取り上げることにした。 この大井充電ステーションはENEOS(本社・東京都千代田区、代表取締役社長・山口敦治)が新たな試みとして開設した施設で、 今年10月1日から運営を開始している。

 大井充電ステーションの最大の特長は日本初となる商用車専用の予約制EV充電ステーションであることで、 EVトラックをはじめとしてEVバス、EVタクシーのドライバーがオアシス的充電ハブとして同ステーションの活用を予定している。

 日本国内におけるEVの普及は商用車カテゴリーが先導役になっていくと見られているが、 それだけに大井充電ステーションはEV新時代に向けた注目すべき施設と言えるだろう。 大井充電ステーションの活性化が期待されるところだ。

<本文は雑誌に掲載>



最新号コンテンツ
巻頭提言
〈EV 主軸に2025ジャパンモビリティショーを概観〉
EVシフト、着実に進展

日本メーカー、海外勢ともにEVラインアップを拡充
ソフトウェアで存在感高める新規参入企業
集中連載
モビリティ新時代への提言

大変革期を迎える自動車業界の
昨日・今日・明日 #5
元トヨタ自動車主査・テラズオフィス代表 寺谷達夫
特別対談
持続可能な地域づくりのビジョン掲げる
「第3次自転車活用推進計画」

自転車含めたモビリティ連携で移動システムを強化

星 明彦 (国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課長)
 ✖️
土田宏道 (国土交通省道路局参事官・自転車活用推進本部事務局次長)
INTERVIEW
不正駐車・不正駐輪はNO!
精算機不要・スマホ決済の次世代IoTパーキングシステム「SEVEN AI CLOUD」

CYBER SEVEN
代表取締役社 長野田修治
事業部長 西原浩人
シリーズ モビリティ新世紀
乗り物新時代・ビジネスシーンの“今”を追う

OSS/ CYBER SEVEN /ヤマトモビリティ& Mfg. /東海技研 /日本ガイウスモビリティ/全日本デリバリー業安全運転協議会(SDA) /日東工業/丸石サイクル/MSI/ニチコン/Lean Mobility /Kia PBV ジャパン/FDS/ニプロン/アクアルミ
BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2025
:パネルディスカッションダイジェスト
移動・物流システムEV化への展望
【パネリスト】
横井行雄 (公益財団法人自動車技術会ワイヤレス給電システム技術部門委員会幹事)
高木啓司 (株式会社山下PMC管理統括本部シニアフェロー)
岸本よしひろ (TEAM MIRAI代表)
司会:遠藤まさ子 (自転車ジャーナリスト)
連載企画
人と街と、EVと。
EV充電ステーション訪問 ②
大井充電ステーション
物流倉庫の密集地に設営されたEV商用車専用の充電スポット
連載・読み物・情報
  • GOOD CYCLE JAPAN〜自転車って「いいね!」〜
                    金籠 史彦
  • 新連載 EVのある暮らしと未来社会 御堀 直嗣
  • 欧州EV通信 山辺 知子
  • 自転車を眼鏡にして世の中を見る 小林 成基
  • 晴走雨読 疋田 智
  • ニッポンの自転車ココが足りない 内海 潤
  • バイシクルシティ・ニッポンを目指して 片岡 大造
  • 日米欧の自転車政策概論 古倉 宗治
  • 新・こちらドクターカー 富和 清訓
  • 提言24時 前野 博司
  • 自由平原 髙木 啓司
  • 自転車ヒストリア 谷田 貝一男
  • News & Information
  • 奥付・広告索引
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<最新号(11月号)の誌面より>