2027年5月25日から28日までの4日間、愛媛県松山市で「Velo-city(自転車国際会議)2027」が開催されることが決定した。
愛媛県と欧州サイクリスト連盟(ECF、本部:ベルギー・ブリュッセル)の共催で実施される本イベントには 世界各国の自転車政策関係者、研究者、有識者、自転車愛好家など1000名ほどの人達が集まると予測され、 自転車に関する学術会議、自転車の交通計画、都市計画、サイクリングなどさまざまなテーマについて議論が交わされる。 自転車パレード、展示会、親睦会なども予定されており、 ナショナルサイクルロードに指定されている「しまなみ海道」での走行会も実施されるに違いない。
「Velo-city」開催──。 大いに結構なことである。 これを契機として自転車文化の向上がはかられ、 安全で健康的な自転車の利用・活用が進むのであれば誰もが同イベントの開催を歓迎してくれるだろう。 が、事はそう単純に言い切れないはずだ。
逆走、信号無視、飲酒運転、携帯電話使用のながら運転、歩行者妨害などなど最近の自転車暴走は目に余るものがある。 ルール・マナーを守りながら自転車に乗っている人が大勢を占めているはずだが、 危険運転の事例は引きも切らず、自転車関連交通事故の件数が横ばい状態であることは注目せざるを得ない状況だ。
警察庁の統計資料によれば令和6年における自転車(第1・第2当事者)の法令違反別交通事故件数は6万7531件で、 これは令和2年の6万7673件とほぼ同じ数字である。 つまり、直近5年間の自転車交通事故はほぼ横ばいで、減っていないのだ。 交通事故として扱われることをまぬがれた事例を加えれば、数字が跳ね上がることは間違いない。 ともかくも道路を我が物顔で走り過ぎる自転車が嫌でも目に付くのが昨今の交通事情なのだ。
そんな状況を背景としてついに2026年4月から導入されることになったのが交通反則通告制度、いわゆる青切符だ。 運用方法については検討すべき点が多々あると思われるが、 悪質な運転に対しては厳しく取り締まってほしいというのが国民の声だろう。
令和4年の警察庁資料によれば、自転車乗用中(第1・第2当事者)の死亡・重傷事故件数の内、 約4分の3が自転車側も法令違反を犯している。 厳しく言うならば、自業自得的な事例が多いのが現実なのである。
「Velo-city(自転車国際会議)2027」では、 環境・健康・観光・交通政策などの切り口で自転車の利活用に関するポジティブな論議が主軸を占めることになるだろうが、 青切符導入に踏み切らざるを得なかった自転車のネガティブな要素についても真摯な討議を重ねるべきである。 もちろん、そうしたスタンスは「Velo-city(自転車国際会議)2027」だけに求められるべきではないはずだが、 同イベントは自転車問題を総合的に論ずる絶好の場であるならば活用しない手はないだろう。
日本の自転車ワールドには今、プラス面とマイナス面の要素が同時に押し寄せている。 そういう意味でも、自転車乗用環境の大変革期を迎えているのだ。
(本誌・高木賢)
「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2025〜自転車・電動モビリティまちづくり博〜」が 6月11日(水)・12日(木)の両日、東京都新宿区西新宿の新宿住友ビル三角広場(屋内イベント空間)で開催される。
会場にはモビリティ変革の時代を反映した先進機能搭載のEV(電気自動車)、 電動三輪車、電動バイク、電動車いす、電動カート、電動アシスト自転車など 多彩な電動モビリティ、及びEV充放電機器・システム、駐輪・駐車場関連機器が大集結。 新たな移動・交通システムの創造、まちづくりへ向けてエキサイティングな提示・提案を展開する。
(本文は雑誌に掲載)
2025年は、大きく潮目が変わる。4月現在、トランプ関税旋風に世界の政治・経済は対応に追われる。クルマの電動化では、「BEV(バッテリー電気自動車)減速とHEV(ハイブリッド車)/PHEV(プラグインハイブリッド電気自動車)増大化」の兆しも出てきた。
今回はBEVの現状課題と将来展望、新車増加率がBEVを追い越す勢いのPHEVのポテンシャル(潜在力)の高さについて、筆者の実体験から分析する。
地球温暖化と気候変動について
昨今、世界の気候変動や自然災害のニュースを目にしない日はない。 地球温暖化が一つの原因とも言われ、世界各地で酷暑・酷寒・集中豪雨・巨大台風など地球上の大気循環や海流循環の変動が関係し、 北極海の氷が溶け、新たに北極海航路ができる。 地球温暖化ガスのひとつに指摘されているCO2濃度の上昇は、世界の平均気温上昇に繋がる。
図1は世界の平均気温上昇の予測だ。 過去100年で世界の平均気温上昇が約1℃上昇し、今後も地球温暖化は新興国の経済活動の進展と共に上昇が懸念される。 最悪の場合、100年後に4.8℃上昇し、東京が亜熱帯の奄美大島の気候となる。
世界は今後2℃以内に上昇を抑える必要があり、 世界は2050年までの「カーボンニュートラル」を宣言している。 昨今、世界中で極端な気候変動が顕在化している。 いよいよ世界は本格的な気候変動対策に向かう。
電動車は、多様化する!
1997年、京都議定書(COP3)の際「21世紀に間に合いました!」の強烈なキャッチコピーで登場した 量産ハイブリッド車・トヨタのプリウスは、 世界の自動車業界における環境戦略の号砲となった。 2008年、テスラの電気自動車・ロードスターもその後のEVシフトの先陣を切った。
(以下本誌に掲載)
地震、津波、洪水、山林火災──。 異常気象も相まって、日本列島はいつ、どこで大規模な自然災害が発生してもおかしくない。 向こう30年以内の襲来が予測されている南海トラフ地震の脅威は、特異な地質構造を持つ島国・ニッポンの宿命だろう。
いずれにせよ、防災対策の強化は災害大国日本にとって不可欠であることは間違いない。 とりわけ人間の生命線である水分の確保は防災対策の基本中の基本と言うべきだろう。
6月11日・12日に東京・西新宿で開催される 「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2025〜自転車・電動モビリティまちづくり博〜」では防災対策が基本テーマのひとつとなる。
DMAT医師としての経験豊富な富和清訓氏に災害時の水分確保について寄稿していただいた。
(本文は雑誌に掲載)
<最新号(5月号)の誌面より>